歯のクリーニングで思うこと

引越のたびにかかりつけになれる医者や歯医者を探すことになる。できれば住まいに近い所と出かけてみるが、とりあえずせよ、ここならというのを見つけるのに苦労することがある。内科は朴訥な先生で細かなことなしで必要とする処方箋を書いてくれればいい。気になる血糖値は血液検査だから採血に手慣れた看護師のお世話になるだけで、いまのところ先生に診てもらうのは血圧だけで診察というほどのものでもない。眼科は検査設備が整っていなければ、いくら名医でも診察のしようがない。設備が整っているということはそれなりの規模になる。引っ越して二年になるが、未だに以前住んでいたところの眼科に小一時間かけて通っている。歯医者は基本定期的なクリーングで虫歯や歯周病でお世話になることはめったにない。クリーニングだから作業は歯科衛生士で、歯科医はクリーニング後のチェックや歯の健康状態の話しをしてくれることがあるぐらいで、初診のときに話を聞いただけなんてところもある。

他人がどういうふうに歯磨きをしているのか知らないが、人並み以上に気を使って、何本もの歯ブラシを使い分けて時間をかけて磨いている。ただ磨いてはいるが、磨けているとは思えない。いくら磨いても、自分では磨ききれない。自分で完璧に磨けるのなら、クリーニングで歯医者の世話にはならない。今までお世話になった歯医者のほとんどは、きちんと磨いてくださいねと言いながらも、磨き切れないことを前提に三ヶ月毎にクリーニングに来ていただければいいですよと言ってくれた。おかげでなんの気おくれもなく通えた。

どの歯医者でも三ヶ月に一度クリーニングすれば十分ですよと言われていたが、ある歯医者で毎月クリーニングすればピッカピッカですよと言われた。ピッカピカを真に受けて、毎月クリーニングに行きだしたら、クリーニングしてもらった数日間は歯茎が疼くような感じがしてちょっと考えこんだ。まさか、歯医者に向かって、クリーニングするたびに歯茎が痛んでるような気がするんですけどとも言えない。
なかにはクリーニングに行くたびに、歯垢染色剤をつかって歯垢を赤く染めて、ほらこんなに歯垢がと磨き切れていないことを見せられて、磨き残しを指摘する歯医者がいた。指摘されたところを気にして磨いて三ヵ月後に行ったら、前回指摘されたところはいいけど、違う個所がということを繰り返したことがある。こっちに注意すると別のところがおろそかになってしまう。あちこち気にしてブラシをかけすぎて歯茎を傷めたことも一度や二度じゃない。今はヘッドの大きさと形の違う柔らかめの歯ブラシを三本、歯間ブラシは太いのと細いのの二本、奥歯の奥専用の先のとがったブラシを使って、ちょっとした工夫をしながら十数分、そしてフロスをかけて終りにするが、クリーニングにいけば、また至らない所を指摘される。

しっかりクリーニングしてくれて磨き残しを指摘してくれる歯医者じゃないと信頼できないが、それでも適当にクリーニングして、自分じゃ磨ききれないから三ヶ月に一回クリーニングにくればいいですよと営業トークの上手な歯医者のほうがいいんじゃないかなと思うことがある。いい年をして何を子供のようなことを言っていると、ちょっと恥ずかしいしだらしないじゃないかお前と思う自分もいる。至らない点を指摘してくれるのはありがたいが、度が過ぎると気もちがなえてしまう。
叱られて伸びる人もいるけど、多くは褒められて伸びるんじゃないかと、アメリカの小学校を思い出す。
2025/3/31