新製品発売

そんなことありっこないじゃないと信じて頂けないか、それとも、そんなことはしょっちゅう遭遇していて何も驚くことじゃないと言われるのか、どっちが多いのかちょっと興味ある。あっちゃいけえないことだが、実はよくある話だろうと想像している。
自社の新製品が業界新聞に取り上げられて、客から問合せの電話を受けて初めて自社が新製品を出した、そしてそれが新聞に掲載されたことを営業マンが知る。物造りの日本というキャッチフレーズを地でゆく「いい物を作れば売れる」という信念?の経営方針が問題の根源にある。技術や製造面には仕事を超え個人の嗜好に近いエネルギを投入するが、営業面に関心がない技術志向の経営が続く限り似たようなことはこれからも起き続ける。「いい物を作れば売れる」という言葉の裏には、たとえ口にはださなくても営業は技術の使いっぱしりに毛の生えたもの以上とは考えないという基本的な社会観のズレというか歪みがある。
販売価格も考慮した上で、世界にこれしかないと言う技術でもない限り、必ず市場で競合にさらされる。たとえ現時点ではこれしかないと言う技術で、特許などで守られているにしても、世界の同業他社がいつまでも指をくわえて見ているわけでもなし、突出した技術的な優位性が侵食されるのに大した時間がかからなくなってきている。それでも技術に度を越えて固執し、営業活動という市場との係わり合いの最も大事な局面には興味も持たず、いい製品なのにそれをしっかり販売してこれないと営業部隊をお荷物扱いする。営業部隊が本来の業務を遂行しうる環境を提供することなく、そのようなものの必要性すら感じる最低限の認識すら持たずに一方的に非難する。
市場に製品を投入する、営業部隊が製品の販売を開始するには最低限下記の準備が必要になる。業界や状況によっては下記の全てが必要でない場合もあるし、他にも必要なものもあるだろうが、概略を言えば下記になる。もし、下記の必用性すら理解できないとしたら、必要性が理解でき準備できる人材にマーケティングおよび営業関係業務を任せた方がいい。そうでもしないと何時までたっても機能する営業部隊を構築できず、事業展開もままならない。営業部隊がだらしがないと言い続けるだけでは何の解決にもならない。
1) カタログなど社外用資料
一般的にそう呼ばれている顧客に製品を紹介する正式資料
2) 販売資料など社内用資料
営業マンが使用する資料で、カタログを見て問合せしてきた客に追加説明をするためのリファレンス。ここには当然価格表なども含まれる。
価格表には、チャンネルディカウント、数量ディスカウントなど希望価格と数種類ありかねない実販売価格が明記されていなければならない。
最短出荷予定、製造スケジュールなど営業が必要とする社内情報で問合わせに対して概略の納期も言及するための資料も必要となる。
3) 社内トレーニングおよび販売拠点用デモ製品
a. 営業マン向け
b. アプリケーションエンジニア向け
c. フィールドサポートエンジニア
4) 上記と関連したホームページコンテンツ
5) 代理店経由の販売体制であれば、上記に関係した代理店用資料、トレーニング
ここに取扱説明書、保守説明書が含まれていないことを疑問に思う人もいると思う。取扱説明書も保守説明書も製品の一部で、ハードウェア、ソフトウェアなど製品の中心をなすものとの整合性のとれた、きちんと品質管理されたものがない限り製品として販売してはいけない。もっとも取扱説明書が製品の一部であることさえ認識していない経営陣のもとでは、上記の当たり前のことがまがりなりにもなされるようになるのは残念ながらいつになってもありえないとは思うが。