HP、Windows7搭載の新製品PC(改版1)

六月二十二日、ヤフーメールの広告を見て驚いた。それはWindows7を搭載したノートPCの宣伝だった。マイクロソフトの強引なWindows10へのアップグレード騒ぎがまだ記憶に新しいなかでのWindows7搭載のPC。Windows7を使いたいという人たちの要望に応えた日本ヒューレットパッカード(以下、HP)の英断に嬉しくなった。これで長年使い続けてきたIBMが壊れても、中古ではないWindows7の最新のPCが買える。広告は下記参照。
http://jp.ext.hp.com/campaign/business/others/windows7_models/?jumpid=ba_r10150_JP/smb/pcs-sh/pu/na/na/dt_pc-always-trg-BroadReach-CommAB/com_ydn/170616
Windows7が特別好きというわけではない。ただWindows8を使った経験からWindows10の使いにくさを想像してWindow7のままでいたいという気持ちが強い。何も困っていないというだけの理由だが、困っていないのに使いにくくて困であろうWindows10に乗り換えたくはない。
宣伝を見てなぜそんなに嬉しかったのか、背景を説明しないと分からないだろう。ちょっと長いがお付き合いをお願いしたい。

自宅で二台のノートPCを使い分けている。一台は11.4インチのIBMのThinkPad(Lenovo)で、もう一台は15.6インチのDynabook(東芝)。IBMのPCには仕事で数社を渡り歩いた歴史が詰まっている。詰まっているだけならいいのだが、あちこちでレジストリにまで手が入っていているからか、WiFiが脆弱になっている(ように見える)。Windows7の更新プログラムがダウンロードされてインストールされるたびにWiFiにつながらなくなって、手作業でシステムを元に戻していた。手作業にも慣れたが、しないでこしたこはない。更新プログラムの受信を拒否する設定にした。

Dynabookの方が新しいし性能も高い。画面も大きいし描画もきれいなのだから、こっちをメインにしてIBMをサブにすればいいと思うのだが、IBMのキーボードに慣れすぎていて、Dynabookでは打ち間違いが多すぎる。CTRLとDeleteキーの配置が違うため処理を間違う。15.6インチで、テンキーがついている。そのせいでキーボードの右端が感覚的につかめない。ここからEnterキーの押し間違いが起きる。
慣れすぎたIBMを捨てきれない。スペースキーと1のキーが外れてしまって、クリアフォルダを適当な大きさに切ってキーを代用してまでして使っていた。数ヶ月前のある日、ついにファンエラーが表示されてIBMが立ち上がらなかった。ついに寿命か、HDのデータだけでも避難させようと、何とか立ち上げた。
Dynabookを使い始めたが、どうにも使いにくい。IBMを生かす方法はないものかとネットで調べたら、部品を買ってきて自分で修理するもよし、秋葉原のIBMの修理専門店に持ち込んでもいいというのが見つかった。早速修理専門店に電話して持ち込み修理を依頼した。二万円ちょっとでキーボードを見る限り新品になった。今まで通り使い続けられると喜んでいた。

ところが、Windows7の更新ファイルを受け付けない設定にしてあるにもかかわらず、設定をかいくぐって更新ファイルが落ちてきた。いつものようにシステムを元に戻してWiFiの復旧を試みたが、いくらやっても復旧できなかった。経緯からまず間違いなく更新ファイルが原因だろうと思いながらも、もしかしたらさすがにIBMも痛んでハードウェアの問題なのかもしれない。あるいはモデムやWiFiルーター、そのケーブルも含めたネットワーク系の障害かもしれない。

素人の悲しさ、ハードウェアもソフトウェアも中身はわからない。Dynabookは正常に動いているからネットワーク系の障害は考えられない。IBMのハードがやられたのかと心配しながらも、まずはハードウェアの問題なのかWindows7の問題なのか切り分けたい。ただ切り分ける知識がない。海外メーカは障害時の技術サポートが貧弱という刷り込まれた常識があって、Lenovoに電話する気にはならなかった。以前からWindows7の更新プログラムには泣いていたので、おそらくWindows7の問題だろうと想像して日本マイクロソフトに電話した。

随分待たされて営業マンがでてきた。経緯と状況をざっと説明して、ハードウェアの障害なのかWindows7の障害なのか切り分ける作業のアドバイスをお願いした。返ってきた返事はさすがマイクロソフトというものだった。「Windwos7の無償サポートは終了しているので、サポートは有償になる」と言う。
「有償サポートはいいとしても、ハードウェアの問題だったら、有償であろうがなかろうが、マイクロソフトはサポートできない。まずハードウェアとソフトウェアのどちらの障害なのかの切り分けのアドバイスをもらいたい」「その上でソフトウェア=Windows7の問題であれば、有償サポートを考える」と言ったが、そんなことで折れる相手ではない。
「技術的なアドバイスは有償サポートの契約がすんでからしか提供できない」「サポート部隊とは有償サポートの契約がすんでからしか話せない」
ただの口利きの営業マンで技術的な知識は感じられない。なにがあっても「有償サポートの契約、一回だけなら約1万三千円、年間契約なら約一万五千円」としか言わない。一言で言えば、「まず金を払え」だった。

何をいっても時間の無駄。電話を切って、どうしたものかと考えた。あれこれ考えて、これだと思った。DynabookもIBMも基本的には同じように動いている。であれば、Dynabookで通信ネットワークに問題がないことを確認できるし、ハードウェアとソフトウェアの切り分けもできないことでもないだろうと踏んで、東芝のサポート部隊に電話してアドバイスをもらった。あれこれチェックしているうちにDynabookもWiFiにつながらくなった。
NTTコミュニケーションズに電話してモデムの障害でないことを確認した。WiFiルータがおかしい。何をチェックするにも、まずWiFiルータをしっかりしなければならない。一時間でも早く復旧したいから、即隣駅の家電量販店にいってWiFiルータを買ってきて、使ってきたWiFiルータと比べながら、家中のPCを新しいWiFiルータにつなげた。
ルータが痛んでいたのをIBMは敏感に捉えたが、Dynabookはマージンが大きかったからか、動いていたということだろう。ルータの問題でしかないと結論するまでに、丸一日ついやした。素人の隔靴掻痒。新聞やネットで騒いでいたWindows7のサポート終了の意味を実感した。

Windows7上で動いているいろいろなソフトウェアのことを考えると、Windows10に乗り換えるのを躊躇する。IBMも痛んでいるし、遠からず新しい11.4インチのPCを買わなければならないだろうと思っていた。なにかのときに入った量販店で聞いた限りでは、新しいPCはみんなWindows10になっている。もしWindows7をと思うのなら、中古のPCを買うしかないでしょうと言われた。
秋葉原のIBMの修理専門店には中古のThinkPadが三、四万円で売っていた。OSは当然Windows7。店の人の話では、「PCの能力もほぼ行き着くところまでいってしまって、個人が日常使う程度のことであれば何年も前のPCで十分。この数年、新しいPCを買わずに修理して使う人が増えている」しっかり設計製造されたPCなら、痛んだ部品を交換してゆけば、当分使えるだろうとほっとした。そうはいっても遠からずWindows10を使わなければならないときがくるとあきらめていた。

そこにWindows7を搭載したPCのセールキャンペーン。キャッチは「Windows7搭載!大画面・デスクトップ代替A4ノートパソコン」。Windows7を使い続けたいという市場要求に答えてはいいが、マイクロソフトが無償サポートしなくなったOSを搭載したPCを販売して、もし顧客がWindows7の障害で困ったら、どのようにしてサポートするのか?

HPのフリーダイヤルに電話して、Windows7のサポートで困った体験を話して、どのようにサポートするのかとお訊きした。営業窓口で答えきれない。サポート部隊の電話番号を教えてくれた。サポート部隊で電話してサポートをどうするのか訊いた。窓口担当なのだろう、即答できずに詳しい人か上司に確認したうえで答えてくれた。「Windows7のサポートは、日本HPで責任をもってやります」 HPは日本のPC市場ではマイナープレーヤ、だからこそマーケティングが機能しているのだろう。これで話が終わるはずだった。

二十五日、スマホのカバー探しに秋葉原のヨドバシにいった。ことのついでだ、HPのWindows7サポートについて訊いておこうと思って、HPの説明員に訊いた。返ってきた答えがなさけない。「マイクロソフトが2020年までサポートします」、わかってない。それは「延長サポートで有償」。マイクロソフトのサポートで障害の原因を特定できるかどうかにかかわらず前金を要求される。

二十七日、日本HPの技術サポートに電話して確認した。HPでは障害が起きたときにハードウェアなのかソフトウェアなのか障害の原因を追究するアドバイスまではしてくれる。ただし、ハードウェアメーカなので、Windows7の込み入ったところまでのサポートは期待できない。期待できないのはマイクロソフトでも同じこと、驚きゃしない。切り分けまでのサポートがあれば良しとするしかない。Windows10で押してくるマイクロソフトを向こうに回して?、Window7搭載を「ウリ」に市場を切り取ろうとするHP。HP、使ったこともないし、特別な思いなどなにもない。それでも柄にもなく、がんばれといいたくなる。
p.s.
言った言わないのゴタゴタを避けるためにも、ショップにいる店員の言葉を鵜呑みにしないで、フリーダイヤルで本社に電話をして気になることは一つひとつ確認した方がいい。録音しているから、後日言った言わないという話でもめることも少ない。ショップでは、たとえメーカからの派遣であっても、本社にいるスタッフに比べれば知識も限られているし、「あれ、えっと」思っても相談できる人が周囲にいない。こう言っては失礼だが、個人の口先三寸のセールストークでごまかされかねないし、録音していないから証拠は残っていない。
2017/8/20