SEO対策にも節操が、

ホームページを作ったところで、その存在に気が付かなければ、誰も立ち寄ってもくれない。その存在を知ってもらうにはどうするかが問題になる。企業としてホームページから市場へのメッセージを発信しようとすると、どうすればホームページの認知度を上げられるかが課題となる。一番簡単なのは認知度の高いホームページと相互リンクすることなのだが、フツーの人にとっても企業にとっても望むべくもない。
自社のホームページの認知度を上げる方策として、自社のホームページに掲示板機能を持ち込んだり、業界ポータルサイトのような機能を作りこんだり、メルマガを発行したりとさまざまなやりかたがあるが、このいずれも継続的な結構な負荷の作業を必要とする。
そこで、限られた工数と費用で実施できるSEO対策をということになる。サーチエンジンの検索ロジックを解説したSEO対策と銘打った情報系ビジネス本の類を参考にキーワードをあれこれ入れり出したり、ログ解析をしたり。。。ということになる。この類の作業が業務でとしてではなく、趣味のようになってしまっている人もいれば、SEO対策を売り物にした外注業者に任せる会社もある。趣味が高じてプロもどきのSEO対策をしてしまう人なのか、優秀なSEO対策屋のおかけで、検索エンジンの検索ロジックにうまく適合して、いくつもの関連キーワードで検索したときに、トップ画面の上部に自社のホームページがリストアップされることになる。
めでたしめでたし、努力の甲斐あってか、外注SEO対策屋の能力のおかげで、キーワードサーチでトップ画面の上部にという目的は達成された。ここまではいいのだが、ここで終わらない人や会社がある、少なくともあるように見える。SEO対策中毒症状とでも呼ぶのか、検索結果のトップページの上部にリストアップされただけでは満足し得ず、トップページのリストを全て自社のホームページのあれこれで専有しようと試みる。
専有する試みが成功すると、サーチエンジンで調べようとしている人達にとっては、迷惑この上ないことが起きる。検索の結果として表示されたPC上の画面いっぱいに一社のあれこれがリストアップされている。巨大なコングロマリットで画面いっぱいにリストアップしても主な事業に限ったとしても表示しきれないという会社ではない。全画面を専有した会社、どう見ても巨大な組織をもっているわけでも、紹介しきれないほど広範な事業展開しているようにも見えない。SEO対策の度が過ぎてというのか、度を超えた使い方をしてと言った方が合っていると思うが、ベンチャーレベルの会社がご同業をトップページから追い出している。
業界知識の限られている人達がサーチエンジンで業界を調べ、知識を得ようとしたときに、検索結果表示のトップページにはある一社のあれこれしかリストアップされない。中にはトップページだけ見て終わりの人達もいるだろうが、情報や知識を探している人達なら必ず次のページに行って調べる。SEO対策中毒症の会社も人も、この次のページに行くという手間をかけさせることを、その手間を惜しむ人達に向けた対策をしていることになる。
次のページに行く手間を惜しむ人達の多くは、サーチエンジンの癖かなにかで偶然ホームページに入って来る程度の関心しか持っていない人達が多いはず。なかにはそのホームページにガイドされてしまって時間を無駄にしたことを快く思っていない人も多いだろう。
きちんと調べようとしている人達なら次のページに行くことを惜しむようなことはない。逆に、そのような人達の目には検索結果表示ページを独占してまで自社のアピールをしている会社を、SEO対策がよくできている会社としてプラスに評価するより、胡散臭い会社と思うだろう。
凝り性の担当者なのせいなのか、妙にWebに凝ったカルトもどきの経営陣のせいなのか知るよしもないが、検索結果表示トップページを専有するようなSEO対策は、人としての了見の狭さ、企業としての節操のなさを公知することに他ならない。
そのSEO対策によって立ち寄る人が増えたとしても、実事業にプラスの貢献をするとも思えない。まっとうな人も会社のそのような会社を敬遠することの方が多い。フツーに考えれば、この結論になるのだが、行き過ぎたSEOで人様にかける迷惑以上の実績が上がっているのだろうか。万が一、上がっていたとしても、無節操の謗りは免れない。
2013/5/26