大寒波とインフルエンザのアメリカ

先月末からテレビも新聞も新型コロナウィルス(以下コロナウィルス)のニュースでもちきりで、ドラッグストアの棚からマスクが消えた。街を歩けば驚くほど多くの人たちがマスクをしている。マスク探しに狂奔している人たちをみると、パンデミックの前にインフォデミックが起きているような気がする。

書いているうちに、ちょっと古いデータになってしまったが、武漢からの帰国者の感染率から状況を整理すると次のようになる。
一便が206人、そのうち4人が感染していた。
二便が210人、感染者は2人。
データが少なすぎるが、武漢からの直行で外乱が入らないから意味がある。
単純計算では、感染者の率は(2+4)/(206+210)=約1.4%
100人当たり1.4人の感染者。

武漢の総人口は約1,100万人、都市部に約860万人。
一月末時点で中国が発表した感染者の数は、武漢で約7,000人。武漢以外で約5,000人。
ほんと?と思わない方がおかしい。

帰国した人たちの大半が武漢の基準でみて劣悪な衛生環境にいたとは思えない。
武漢の人口を1,000万人として、帰国した方々の感染率から単純計算すると、
10,000,000人 x 0.014 = 140,000人、14万人。
流言飛語になりかねないのが心配だが、武漢には十万人ぐらいの感染者がいるのではと疑われる。

そこに春節で中国から七十万人もの観光客が押し寄せた。
ここまでくると、心配するなと言われても「はい、そうですよね」という気になれないし、マスクを求めて狂奔する人たちの気持ちもわかる。ただ一歩下がって、マスクの効用を考えると、インフォデミックが起きているとしか考えられない。
市販のマスクというフィルターが直径100nm(ナノメートル)ほどのコロナウィルを捕捉できるとは思えない。効果は感染している(かもしれない)人たちからの飛沫を防ぐまでだろう。

コロナウィルの話題にかくれてか毎年恒例のインフルエンザの影が薄い。コロナウィルスの感染を心配して手洗いなど感染を防ぐ努力のおかげかともしれないが、インフルエンザ・ウィルス、そんなことで防げる柔なやつでもないだろう。暖冬のおかげだろうと想像している。ただ暖冬は日本のことで、アメリカでは大寒波。どうなってんだろうとWebで見てみたら、驚くニュースがでてきた。

「アメリカ インフルエンザ」とでも入力してサーチすれば、日本語のニュースがいくらでもでてくる。ニュースを紹介する気はないし、解説するような知識があるわけでもない。ざっと要点を拾っておく。
絵図になっているから、英語でも状況が一目でわかる。
https://www.cdc.gov/flu/about/burden/preliminary-in-season-estimates.htm
CDCは、Centers for Disease Control and Preventionの略で、米疾病対策センターと訳されている。

ホームページに入っていただければ一目瞭然、去年の十月一日から先月の二十五日までの推測値が記載されている。なに推測値?と思う方もいらっしゃるだろうが、調査対象が何百万人何千万人になると、一人の単位で完璧に調査できるわけではない。そこで、現在分かっていることから推測するしかないということで、現実を正直に言っているデータと考えればいい。
予測値なのでデータに幅があるが、ざっと二千万人以上の発病者に死亡者二万人。

でもそこは医療先端国のアメリカ、中国と違って医療体制もしっかりしてるしと思う方も多いだろう。ところが、アメリカは医療費が高すぎて、ちょっと咳が、熱があるからと医者には行けない人たちが信じられないほど多い。
あまりに個人の経験で参考になるか気にはなるが、アメリカの医療費がどれほどもものか想像するには十分だろう。
もう十五年前の話だが、赴任の準備と引っ越しでバタバタして、かかりつけの歯医者に行きそこなった。ボストンに赴任して一息ついて、同僚の行きつけの歯医者を紹介してもらった。まだ保険に入って日が浅いから保険は使えないといわれて、全額負担になった。
歯のクリーニングをしたら、九百ドルだった。確かに念をいれたクリーニングだったが、治療ではない。ただのクリーニングに、一ドル百円で換算すれば九万円。歯医者が医者より高いということもないだろうから、アメリカではよほどこことでもなければ医者にはかかれない。

インフルエンザ、大寒波の影響もあってのことじゃないかと勝手に想像している。
大寒波のニュース。
https://www.bbc.com/japanese/47066832

インフルエンザ、去年の冬も大流行して、今年もということになる。アメリカが中国からの入国を禁止するのは、ちょっと身勝手すぎないか。アメリカのインフルエンザはどうするんだ。中国からの人たちよりアメリカからの人たちの検疫を強化しなければと言い出す人がいないのが不思議でならない。
それにしてもおかしい。アメリカのインフルエンザのニュースが少なすぎる。報道の自由とかお題目はいいが、どこか政治の臭いでもと勘繰りたくもなる。それともインフルエンザの流行は毎年のことで、いまさらニュースにならないということなのか。
2020/2/8