アルジャジーラがある

カタールについては、アラビア半島からペルシャ湾につきでた半島の産油国だということぐらいまでで、ほとんど何も知らない。ドーハの悲劇もあったから、どこかで名前ぐらいは聞いたことがあるという人も多いかもしれない。そんなことでもなければ、カタールって、どこ?どんな国?が普通だろう。

今回のワールドカップのゴタゴタのニュースのいくつかを読んでいて、正直びっくりした。何も知らなかったことが恥ずかしい。なんでBBCが開会式を放映しなかったのか?なんでドイツチームがカタールの人権問題を気にしているのか大まかにしても見えてきた。見えてきたとたん、ニュースが伝えて来たことを生み出しているもの、その生み出しているもののもとはなんなのかが気になって、Webでちょっとみてみた。

何も知らないときの情報漁りの定石―ウキペディアで先ずカタール、そして新型コロナ禍で図書館が閉館になったことから読みはじめたカタールの新聞アルジャジーラを見てみた。気になるところだけ書き写しおく。
<カタール>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AB

「首都は国民の8割以上が住むドーハで、国土の大部分は平坦な低地の砂漠」
1868年にムハンマド・ビン・サーニーがイギリスと条約を結び、独立国としての地位を認めて以来、カタールはサーニー家による世襲君主制国家として統治されてきた。オスマン帝国の支配を経て、20世紀初頭にはイギリスの保護領となり、1971年に独立した」
「現在の首長はタミーム・ビン・ハマドで、カタール憲法に基づき、行政・立法のほぼすべての権限を持ち、司法も支配している。首相と内閣は首長が任命する。一部選挙で選ばれた諮問評議会は、立法を阻止することができ、大臣を解任する能力も限られている」
「2017年初頭、カタールの総人口は260万人で、そのうち31万3千人がカタール国民、230万人がエクスパットである」
「一人当たりのGDP(PPP)が世界第4位、一人当たりのGNI(アトラス方式)が世界第11位」「カタールの人間開発指数は42位で、アラブ世界では3番目に高いHDI」「世界第3位の天然ガス埋蔵量と石油埋蔵量を背景に、高所得者層が多い経済国である」「カタールは世界有数の液化天然ガス輸出国であり、一人当たりの二酸化炭素排出量は世界一である」


BBCには遠くおよばないものの、カタールにはAl Jazeeraという衛星放送局がある。Al Jazeeraはインターネットで英字新聞も発行している。新型コロナ禍で図書館が閉館した二〇二〇年の四月から貴重な情報源として毎日読んでいる。Al Jazeeraはほんの一部でしかないものの日本語でもニュースを配信している。日本語のホームぺージの気になるところを書き写した。
<アルジャジーラ>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%A9

「1996年11月1日、カタール首長であるハマド・ビン・ハリーファ・アール=サーニーより5億カタール・リヤル(1億3700万USドルに相当)の支援を受けて設立。独立を保った報道姿勢を保ちつつも、会長には首長の親戚であるハマド・ビン・サーメル・アール=サーニーが就任し、カタール政府を通じた経営」

「カタールは、欧米諸国に対しては、イラク戦争では基地を提供する程度には比較的に穏健な姿勢であり、このアルジャジーラはカタール政府が西洋の近代的メディアを手本に創設したものである。また、パレスチナ自治政府の汚職などの問題を追及したり、イスラエル人が出演してヘブライ語で話すなど、他のアラブのメディアがやらなかったような事も積極的に取り上げる」

「アルジャジーラは自らを『公正で政治的圧力を受けない、中東で唯一の報道機関である』と謳っている。実際に英国のIndex on Censorship(検閲に関する問題を扱う雑誌。1972年創刊)では、2005年に『アラブ諸国における自由な情報交換を促進し、検閲を拒否する勇気』の一例として紹介されているし、アメリカにおいても1999年のニューヨーク・タイムズ紙に『アラブ諸国で、最も自由で最も広い観点を持つテレビネットワーク』と評されている」

ワールドカップ関連のAl Jazeeraのニュースを引用する。(英語のニュースを機械翻訳した)
「Why are football teams protesting against Qatar 2022 World Cup?」
https://www.aljazeera.com/news/2021/3/28/why-are-football-teams-protesting-against-qatar-2022-world-cup

「サッカー選手たちは、2022年ワールドカップ予選でフィールド上での抗議行動を行い、カタールが来年の大会の開催権を獲得して以来、注目されている移民労働者の扱いとその人権記録を強調している」
「今月初めに発表されたメディアの報道では、インド、パキスタン、バングラデシュ、ネパール、スリランカからの移民労働者6500人が、カタールが2022年大会の開催権を獲得した2010年以降、カタールで死亡したとされている」
「カタールはこれに対し、『これらのコミュニティにおける死亡率は、人口の規模や人口統計から予想される範囲内である』と反論した」
「また、特に気温が40℃を超えることが多い夏場の過酷な労働条件、ワールドカップ競技場の建設現場などでの賃金の乱用、カタールの人口の約95%を占める移民労働者に与えられている権利の欠如に対する抗議も行われている」

ウィキペディアでは、「2017年初頭、カタールの総人口は260万人で、そのうち31万3千人がカタール国民、230万人がエクスパットである」となっている。ここから外国人の占める割合を計算すると、230/260=88.5%になる。カタール国民が11.5%、十人に一人以上がカタール人ということになる。2017年に公表された人口であることと、ワールドカップ関連の建築やらなんやらで海外からの出稼ぎ労働者が増えたということなのだろう。上にあげた二〇二一年三月二八日付けのAl Jazeeraの記事では、住民の約九五%が外国人となっている。
住民の九五%が外国からの、それも多くは建築現場で働く肉体労働者という国家。常識、というと誰の何に基づいての常識かといわれそうだが、普通の常識にてらして、そんな国はありえないだろうと思うのだが、どうだろう。
そして、ウィキペディアの記述(下に再掲しておく)をみれば、拙い知識からでしかないが、どうみても大英帝国が石油利権を守るためにつくった人工国家にしか見えない。戦後はその石油利権にはアメリカも絡んでいるだろう。欧米先進国も日本も安定した天然ガスの供給元としての現在のカタールのありように一様に責任があるとしか思えない。
「1868年にムハンマド・ビン・サーニーがイギリスと条約を結び、独立国としての地位を認めて以来、カタールはサーニー家による世襲君主制国家として統治されてきた。オスマン帝国の支配を経て、20世紀初頭にはイギリスの保護領となり、1971年に独立した」
「現在の首長はタミーム・ビン・ハマドで、カタール憲法に基づき、行政・立法のほぼすべての権限を持ち、司法も支配している。首相と内閣は首長が任命する。一部選挙で選ばれた諮問評議会は、立法を阻止することができ、大臣を解任する能力も限られている」

開会式を放映しない。選手が人権問題で批判する。放映しないのも、批判するのも当たりまえ。でもその批判している状態を作り出したのは自分たちの政府と自分たちの企業であり、自分たちの安定した生活じゃないのかと思うに至ることはないのかと、そっちの方が気になってしょうがない。

ことのついでにThe WeekとDie Weltの記事をあげておく。まずThe Weekから、
「Qatar 2022: Why there's no World Cup “joy” in Germany」
「2022年カタール大会:ドイツにW杯の「歓喜」がない理由」
https://www.theweek.in/news/sports/2022/11/23/qatar-2022-why-theres-no-world-cup-joy-in-germany.html

「ドイツ代表MFジョシュア・キミッヒは、初めてのワールドカップを前にして、母国ではこの大会に対する『喜びがない』と語った」「いくつかの報道機関が報じた、『FOCUS』誌とシービーオピニオン研究所によるオンライン調査では、ドイツ人の65%がワールドカップの一般上映ボイコットを支持していることが明らかになった」
「ドイツでのワールドカップ開催に向けては、カタールのスタジアム建設における人権侵害の疑いや、同性愛に対する姿勢に対する抗議など、政治的な話題が中心となっていた」

Die Weltは地元らしいく、街の匂いが漂っている。
「Bars in Germany boycott Qatar FIFA World Cup」
「ドイツのバーがカタールFIFAワールドカップをボイコット」
https://www.dw.com/en/bars-in-germany-boycott-qatar-fifa-world-cup/a-63794873?maca=en-newsletter_en_bulletin-2097-xml-newsletter&r=17278341721318965&lid=2347265&pm_ln=176707
「サッカーのワールドカップを控えたドイツが、これほどまでに沈滞したムードに包まれたことはない。多くのパブで、これまで想像もできなかったことが起きている。ワールドカップの期間中、サッカーの試合は放映されないのだ」

p.s.
ワールドカップもオリンピックも金権と汚職まみれにみえて、テレビを見る気がしない。特にサッカーはあまりに露骨は反則が目について気分が悪くなる。なんとか世界大会というスポーツも見ない。どれも費用のほとんどは庶民から吸い上げた税金じゃないか。人様の金を使って金儲けに乗せられて浮かれた気分に?なれるほど単純じゃない。
「カタール発の報道は、うさんくさいことばかりでウンザリさせられる」とおっしゃる方もいらっしゃるが、カタールにはAl Jazeeraがある。日本にAl Jazeeraに匹敵するマスコミがあるのか?日本のマスコミよりAl Jazeeraの報道のほうが読むに値すると思っている。
2022/11/29