マスコミが健全な民度と民意を醸成する(改版)

YouTubeで安芸高田市の市議会のありさまを見てきたからか、CNNのニュースを読んで、そういうことなんだよなと、あらためて思った。先にCNNのニュースに目を通したほうが、何を問題としているのか分かりやすいかもしれない。最下段のp.s.<マスコミのプロパガンダの犯罪>にニュースの要点をまとめてあります。

大衆に事実を伝えるジャーナリズムのないところに民主的な政府なんか生まれっこない。あったところで、うまれる保証はないが、なけりゃ真っ当な民度も民意も育ちゃしない。議会も行政府も司法も民度と民意が生みだすもので、民度と民意以上のものにはならない。行政や議会が利権と汚職まみれだと批判するのもいいが、その批判の対象は自分たちの民度と民意を反映したもので、本当に批判されなければならないのは、有権者ご自身だということ、そして行政の愚策の尻ぬぐいをするのも自分たちだということを忘れちゃいけない。一言で言ってしまえば「自業自得」。

日本の有権者は自分たちの便益を政治屋や利権屋といっしょになって求め続けてきた。ろくに車も走らない高速道路、利用者がほとんどいない空港、いつまでたっても赤字が続いて税金で補填しなければ運行を続けられない新幹線。築地の移転もオリンピックも大阪万博も……そして作ったモノの管理やメンテナンス、費用はすべて税金で賄われている。
どこかから金が湧いてくるわけでもなし、有為の人たちが私産をなげうってってわけでもない。全ては税金で賄われている。行政の支出は、平たく言ってしまえば市民や企業から徴収した税金を特定の社会組織や地域に供与しているということに他ならない。

みんなが住みやすい社会を実現するためだという立派なお考えもわかる。昔の話しで記憶がおぼろげだが、確か中学のときの教科書にイギリスの社会制度のスローガンとして「揺りかごから墓場まで」と書いてあった。今の日本には揺りかごどころか生れる前から出産関係の費用補助まである。なんとも至れり尽くせりで、日本は社会保障の充実した世界にもまれにみる国になった。子育て支援、学費支援からはじまって、そこまでと驚く支援もあるし福祉もある。構造不況にあえぐ業界への支援が失業者の救済に役立っているもわかる。土木、建設工事があれば鉄屋も建材屋も運送屋も儲かる。工事現場で働く人たちや工場で働く人たちに金が回れば、競輪やパチンコも居酒屋も繁盛する。ユニクロの売り上げも風俗だって潤う。日本はケインズが提唱した厚生経済学の理屈の通りの優等生だ。

経済成長を続けていたときなら採算性や人口動態なんか気にすることもなく、豊な生活を求めて大盤振る舞いもできた。ただ残念なことに、人口は減る一方だし経済成長は止まったままの今、かつてのようにはいかない。いかないどころか広げてしまった風呂敷をたたまなければならなくなった。それは公共施設や組織だけじゃない。公共投資からははるかに遠いところにいる民間企業も回り回って事業の整理を迫られている。民需の落ち込みを公共投資で下支えするという理念や理論は立派だが、行政にはもう余裕がない。余裕がないところに人気稼業の政治屋は今まで以上に選挙地盤に公共資金をひっぱることに精をだしている。いつの時代にも上杉鷹山のような政治屋がおいそれと登場してくるわけじゃない。
財政難の説明を聞いても、誰も今まで享受してきた便益を「はいそうですかと」手放しゃしない。まして経済格差が広がるなかで生活に汲々としている巷の多くの人たちは、提供してきた便益をもっといいものに置き換えようと声高に主張する政治屋に惹かれる。トランプがその典型で、富裕層の強欲と技術革新によって底辺に追い込まれた白人たちが、目先の欲でトランプを盲目的に支持し続けている。
アメリカに限らず、日本でもロシアでも中国でも、さらに言えばフランスやドイツなどのヨーロッパでも似たような社会現象が起きている。いわゆるポピュリズムとよばれる政治の流れに乗って、知識も教養も情報も限れている人たちを扇動することで利権の掌握を目論んでいる輩が台頭してきた。

将来の自分たちだけでなく子孫にまっとうな社会をという当たり前の自覚とそこから生まれる責任感を生み出すのは健全な民度や民意だろう。その民度や民意が生れ育つ環境をつくりだすのは誰なのか?社会の実状を情報として提供するのは利権がらみでしか動こうとしない政治屋連中ではなくマスコミだろう。マスコミから社会ありようと財政についての実態が大衆に提示されれば、そこからからこうだからこうだからと、真っ当な考えにたどり着ける。ところが実態を知られたら、自分たちの政治的社会的立場が危険にさらされ、手にしてきた利権を失うのを恐れる人たちがいる。そして、その連中の広報機関のような役回りを果たしているマスコミがいる。事実を大衆に知らせないどころか、支配的立場にいる人や組織に都合のいいプロパガンダを流し続けている。アメリカのFoxはそのいい例だろう。

マクロ的にみれば、厚生経済であろうが共産主義の計画経済であろうが、生み出した富以上には消費できないという原則に変わりはない。借金を後世に残して、今を生きる。みっともないにも程あると思うが、自分もその一人。行政がインフレ対策としてみんなに十万円上げるといったら、ほとんどの人は反対しないだろう。それが市民の声だという政治屋がいる。赤字財政のなかで、そんなことをしてと思いながらも、年金生活者の一人としてはありがたい。
民間企業においても似たような状態で、だれも面倒なことはしたくない。当面をごまかしてどうにもならない負債をかかえた組織体を後進に押し付けて、退職金に企業年金をもらって楽隠居が日本のエリートサラリーマンが求めてきたものだろう。

オリンピックにパラリンピック、そして大阪万博で一騒ぎしているところにパーティー券のキックバック騒ぎ。日本中汚職と利権にまみれて神経が麻痺してしまったのか、デモひとつ起きやしない。官報もどきの報道なんかみる気もしないし読む気もない。どうせ政界や財界の恥部なんか出てやしないだろう。もしぶちまけるかのように出てきたら、あまりのことに腐臭に耐性のない人は卒倒しかねない。型にはまった学校教育で使い易い人材を育てることに徹してきた日本には、そこまで視野の広い、洞察力のある人がそうそういるとも思えない。仮に全部露見したとしても、個人の能力では見えるところが見えたまでだろう。住んでいる区や市町村の話でも視界不良なのに、国のレベルになれば、普通の人の知識や知り得る情報からでは到底全体像をつかみえない。多少なりとも汚職や利権に絡んでいるか、絡んでいる人たちの周囲にいる人しか実像(それも一部分だけ)は掴めない。

そんな日本でただ一人、安芸高田市の石丸市長が市政や市議会の現状や財政状況を、市の広報誌だけでなくYouTubeやツイッターまで活用して伝え続けている。安芸高田は広島県の内陸部にある人口たかだか三万弱の過疎の市。そこで生まれて、そこで育って、村落共同体のような社会の中での経験しかない議員連中を相手に非常に優秀な、田舎町には出来過ぎた石丸市長がなんとか健全な市にしなければと、ほとんど命懸けのような活動をしている。
それを中国新聞がまともに伝えないどころか、利権まみれの社会集団の手先のような報道を繰り返している。
安芸高田市が抱えている問題の根源は市民が知らなければならないことを知らずにきたことにつきる。まともな情報公開がないから、飯くって糞たれて、それが生活だと思っている人たちは、バラマキ行政、親分子分、地縁血縁の磁場を通して、なにが起きてきたのか、何が起きようとしているのか知らされないまま生きている。
今も昔も社会は「由らしむべし知らしむべからず」で成り立っている。その成り立っているのを成り立たせているのは軍でもなければ警察でも官僚でもない。マスコミだ。

実状を知り得ない人々からは、真っ当な民意も生まれなければ、民度も醸成されない。石丸市長が挑戦しているのは、手にした利権を死守しようとする議員連中相手に議会でどうのこうのじゃない。その議員連中に投票した市民に実状をつぶさに伝えて、健全な民度と民意を形成することだ。
後世に背負い切れない大きさの負債を残してあの世にいくのか、健全な日常生活を送れる社会の残していなくなるのかは今選挙権を持っている人たちの自覚にかかっている。

p.s.
<マスコミのプロパガンダの犯罪>
マスコミが垂れ流すプロパガンダの悪例がある。一月五日付けのCNNの記事の一部をYahoo Newsが配信してきた。民主主義を標榜しているアメリカの歴史の大きな汚点となっている。それは現在進行形でまだ広がり続けている。記事の全文は下記で読める。
「Three years after the January 6 attack, propaganda about the insurrection is poisoning the American public」
機械翻訳すると、「1月6日のテロから3年、反乱に関するプロパガンダが米国民を蝕む」になる。urlは下記の通り。
https://edition.cnn.com/2024/01/05/media/january-6-insurrection-three-years-later/index.html

主要な部分を機械翻訳した。
共和党は、Fox Newsやその他巨大な右翼メディアマシンによって、嘘と半分の真実を着実に食べさせられてきたのだ。
つまり、ジョー・バイデンが極悪非道にも2020年の選挙を盗んだという誤った考えは、今や共和党内で広く共有されている。夏に実施されたCNNの世論調査によると、共和党員の70%近くがバイデンの勝利は正当なものではなかったと考えており、その数は増え続けている。

言い換えれば、2020年の反乱を引き起こした大嘘は、今や共和党員の間で支配的な考え方となっている。
同時に、右派メディア勢力は、トランプ大統領が暴徒を扇動して連邦議会議事堂を襲撃させた役割を、白紙に戻そうと躍起になっている。タッカー・カールソンのようなMAGA過激派は、国民がテレビの生中継で目撃した攻撃は "ディープ・ステート "によって引き起こされた、いわゆる "偽旗 "事件であるという虚偽で非難されるべき幻想を繰り返し宣伝してきた。

そしてそれは、時事問題を理解するために信頼できる報道機関を頼りにしている一般の人々にとっては、当然のことながら馬鹿げている。ワシントン・ポスト紙とメリーランド大学が木曜日に発表した世論調査によると、フォックス・ニュースを主要なニュースソースとしているアメリカ人のうち、なんと39%がFBIが1月6日のテロを組織し、奨励したと考えていることがわかった。同じ世論調査では、トランプ支持者の44%がこのデマを信じていた。

アメリカの話しだが、他人事とは思えない。「人のふり見て我がふり直せ」が頭をよぎる。
2024/1/6 初稿
2024/2/25 改版