スイスの高級腕時計と安物のセイコーの腕時計(改)
何気なしにYouTubeをみて、親友が言っていたことを思い出した。聞いたことをざっとまとめると下記になる。「スイス高級時計に日本がガチギレした結果」
https://www.youtube.com/watch?v=gTEva1oycHo
似たような言葉でググれば、イヤと言うほどの記事がでてくる。もうちょっとしっかりした説明をと思う方はググってみてください。
わが家には好対照の腕時計がある。一つはひと目でスイスの高級腕時計と分かるもので、もう一つは飾り気のない一万円かそこらのセイコーの腕時計。どちらもクオーツ時計で誤差が気になったことはない。
セイコーの時計を買ったのは一九八四か五年だったから、もう四十年も前になる。長年使っていた時計がいつ故障するかと心配だったこともあって、何気なしに入った新宿のディスカウントストアで見つけた、とりあえずのものだった。
スイスの時計は二〇〇四年に家族旅行でロンドンに行ったときに三越で思い出にと買ったもので、しているだけで気分を高揚させる効果がある。二つを取っ替え引っ替えするのも面倒で、セイコーは引き出しにしまってしまった。
ところが二〇一八年にアメリカの会社に転職して状況が変わった。社用車の代わりに新宿三丁目の先にマンションを用意してくれた。それというのもニューヨークの本社との電話会議が夜中から始まるから事務所の近くに住まなければ体がもたない。住み慣れた浦和から新宿に引っ越してから街の様子が気になりだした。ひと目でスイスの高級時計と分かるものを身につけてをうろちょろするのは怖い。危なっかしい街では、これといった特徴のないシンプルなデザインのセイコーの時計の方が無難だろうと、セイコーを引っ張り出して、スイスを引き出しにしまいこんだ。
スイスの時計もセイコーの時計もクオーツで機械式時計に比べれば部品点数ははるかに少ない。部品点数が少なければ、故障も減る。たとえ故障しても修理にかかる手間(費用)も減る。部品点数は減ったが、個々の部品の品質には越えられない違いがあるということなのだろう、スイスの時計は電池を交換するとき時計屋にオーバーホールを勧められた。時計屋曰く、「スイスの時計は電池を交換する際にオーバーホールしないと故障する可能性がありますよ」とあたかもオーバーホールが当たり前かのように言われた。電池交換のたびにオーバーホールに三万円ぐらいかかる。
セイコーの時計を使ってきた経験からクオーツ時計のメンテナンスといえば、三年に一度の電池の交換ぐらいだと思っていた。事実一万円ちょっとのセイコーの時計は電池も交換せずにしまい込んでいたこともあるのに、いまだになんの問題もなく四〇年以上動いている。
熟練した職人による世界に冠たるスイスの時計、経済的に余裕のある人たちを顧客として抱え込んではいるが、今の時代の品質管理手法に支えられた大量生産システムが提供する品質には遠く及ばない。それは時計だけに留まらない。ヨーロッパの自動車産業にもおなじことがいえる。ことは工業製品の品質の話じゃないかと思う人もいるだろうが、ことはそう簡単じゃない。ヨーロッパ社会の硬直性がもたらしているもので、その根っこには人々の社会の在り方に対する思想の違いが目に見えるかたちで現れていると言っても言い過ぎじゃない。思想を変えなければ歴史に培われた(縛られた?)社会も変わらないし、工業製品の品質も変わらない。思想を変える力が今のヨーロッパにあるのか?自動車産業の苦境が伝えられる今、この先四、五年でどれほどの力があるのかまでが誰の目にもはっきりしてきそうな気がしてならない。
友人の話しには実体験から生まれた説得力があった。高度成長期に学生時代をすごした機械屋でドイツ製やスイス製には畏敬の念すらもっていた。一九九八年にアメリカの会社からドイツの会社に転職して以来、オランダとスイスの会社にもお世話なった。どこも世界的に名の知れた会社だったが、当てにならない仕事の後始末に奔走する日々だった。あの憧れや畏敬の念はなんだったんだろうって思い返すことがある。今は友人と同じように日本製に全幅の信頼を置いている。
<参考>
ことの次いでにベンツの惨状をどうぞ。
「ベンツついに日本撤退か!?致命的な欠陥判明し投げ売りする人が続出」
https://www.youtube.com/watch?v=GkP2YvKM_F4
アウディーフォルクスワーゲンもどうぞ。
「激安外車を買ってみたら散々だった」
https://www.youtube.com/watch?v=PUjkO-WK_7o
2025/2/2 初稿
2025/3/22 改版