競走馬はペットのようにはいかない

終日自室であれこれやってはいるが夕食の支度が始まったら、頃合いを見計らってダイニングにでてゆくことにしている。 なにもしないで支度ができてからは気がひけるというだけで、出ていったところで出来ることはレンジでご飯やおかずを温めるぐらいしかない。レンジに入れてメニューを選んでスタートボタンを押すまではいいが、温まるのをじっと見ているのも手持無沙汰で椅子に座ってテレビをつける。地上波もBSもいろいろやってはいるが、いくらチャンネルを回してもこれはという番組に出会うことは滅多にない。しょうがないからというのも変な話だが、煩くないというだけで地方競馬を見ていることが多い。

転職するたびに誰がやってもどうにもならない状況をひっくり返すしかない立場になってしまった。このままいけば来年はあってもその次は分からないと焦ってみたところで、これだという妙案なんか早々にでてくるもんじゃない。胃に穴の開く思いまでならまだしも、不眠症に陥ったことも一度や二度じゃない。どうにもならずに自殺を考えたことすらある。
言ってみれば仕事が大穴狙いのギャンブルのようなもので、わざわざギャンブルに出てゆく元気なんか残っちゃいない。競馬に興味はないし、馬券を買ってなんて考えたこともない。それでもテレビで見る馬体の美しさには感動に近いものがある。どの馬も血統を主張しているかのようで生きる宝石の感がある。そこまでで済めばよかったのに、遺伝と戦い続けているような自分のありさまから、競走馬に受け継がれてきた血統が何を意味しているのかと気になってしまった。
遺伝的優位性をもとめて近親交配が当たり前になっている競走馬の繁殖、ペットのイヌやネコの繁殖とはレベルがちがう。それはもう馬権侵害とでも言うしかない。この人の良心や社会のありようの闇にはいる前に軽く寄り道をしておく。何?名前と思う人もいるだろうが、ときには笑いを誘うものもあるし、なかにはさすがにそれはというものもある。

ある日、ぼーっとテレビを見ていたら「アンニントウフ」という名の馬がでてきた。つい甘いアンニントウフではなくて、激辛のマーボートウフなんてのもあるかもしれないなんて考えてしまった。命名には何らかの規制があるはずだと思ってググったら、下記が出てきた。
「馬名のルール?世界と日本?」
https://note.com/iwasborn_torun/n/n43cb29781a66
「公序良俗に反するもしくは侮辱的な内容、国際的に保護されている名前などは不可」
まあ、公序良俗も侮蔑的も分かるが、そんな名前じゃ馬も可哀想じゃないかと思いながらも、思わず吹き出してしまうものもある。
https://www.youtube.com/watch?v=7pToHFKigsY
「モグモグパクパク」から始まって、「モチが粘っている、モチ粘っている……」「オレハマッテルゼ」「ワラチャウヨネ」「逃げるオマワリサン、逃げるオマワリサン……」「オトナノジジョウ」「バカニシナイデヨ」……どれも馬主が熟考の末に夢を託してつけた名前だとは思うが、本当のことろはどうなんだろう?
YouTubeでちょっと見ただけだから、えっと思わざるを得ない名前も結構あるんじゃないかとググったら、でてくるでてくる。数える気にもならない。二つもあげれば十分だろう。
「面白い名前の競走馬・珍名馬150選」
https://keiba-teacher.com/643.html
【2023年最新】おもしろ馬名&珍馬名まとめ
https://shotasuzuki.net/archives/5115

名前もさることながら、競走馬の誕生から引退後までを想像すると名前どころじゃないんじゃないかと気になって調べてみた。
<近親交配>
競馬場で速く走れることだけを目的として近親交配が繰り返されている。ググれば色々でてくるが、下記で十分だろう。
「近親配合?インブリードがすぎる奇跡の10頭の名馬たちに驚愕」
https://www.youtube.com/watch?v=zKdrl1qoyaM

インブリード(近親交配)の中でも特に効果があるとされている組み合わせが、父方と母方の4代前と3代前に同じ祖先を持つ4×3(もしくは3×4)の配合。これは「奇跡の血量」とも呼ばれており、3代前の祖先の血量(12.5%)と4代前の祖先の血量(6.25%)を合わせた18.75%の血量こそが、インブリードの効果を最も高めるとする理論、概念です。

近親交配のおかげで競走馬として優秀なのだけが生れてくれればいいのだが、先天性の障害を持って生まれくるのもいる。人間のケースではスペインのハプルブルグの近親結婚の障害がよく知られている。
「身内同士の結婚を300年間くりかえした一族ハプスブルク家の末路がヤバすぎた」
https://www.youtube.com/watch?v=f6wYmj8U8XQ

<サラブレッドの3大始祖>
https://jra.jp/kouza/thoroughbred/founder/
現代の世界中のサラブレッドは父系の血統をたどっていくと、すべて3頭の馬にさかのぼることができます。この3頭の馬をサラブレッドの3大始祖(3大父祖)といいます。馬名はダーレーアラビアン(推定1700年生)、ゴドルフィンアラビアン(またはゴドルフィンバルブともいう、推定1724年生)、バイアリーターク(推定1680年生)です。

<馬の知能は人の3歳児程度?もっと賢く感じる瞬間も?>
https://horsefair.jp/topics/topics-791/
競走馬は三歳児ほどの知能があるといわれているから、自分の名前を音でしかないにしても記憶しているだろう。変な名前をつけられたところで、ただ音でしかなところが救いなのかもと思ってしまう。
名前ねーと思っていて、血統?引退後は?と気になってググってみた。予想はしていたが、知らなかったほうが良かったと思うものが出てきた。

<競走馬の生涯>
人為的につくり上げられた能力をもったもの同士の競争のなかで活躍したとしても、現役でいられるのは何年でもない。 競馬を引退すると馬はどうなる?
https://kansai.us/column/post-3453/#:~:text=%E7%8F%BE%E5%9C%A8%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%80%81%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%81%A7,%E7%94%9F%E3%81%8D%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%81%A630%E5%B9%B4%E3%80%82

<種牡馬になれる確率は?>
サラブレッドは年間約7000頭が生まれ、そのうち約3600頭が牡馬です。 そして種付けができる種牡馬になれるのは、わずか30頭ほどで1%にも届きません。 とても厳しい競争社会ですね。

サラブレッドの平均寿命は、25歳前後とされており、生涯の中で競走馬として活躍できる年齢は、長くても10歳前後ではないでしょうか。
引退した後の競走馬の多くは乗馬クラブや学校、観光牧場などの行き先が無く、約85%が生涯を全うすることなく殺処分されているといわれています。
日本で競馬が盛んになり続けているわけでもないだろうから、競走馬の数が年々増えているとは考えにくい。一時減少した出産頭数ももちなおして、今は毎年7000頭以上の競争馬が生れている。若い馬が登場する一方で現役を退いていく馬もいる。出産頭数とほぼ同数の競走馬が姿を消していると考えられる。

お使いにでかけたとき、駅前でたまに保護イヌやネコの里親……活動をされている方々を見かけるが、馬がというのは聞いたことがない。都心部では住宅事情からイヌやネコの多くも小型種が主流になっている。毎日の世話も大変だし、食事代もバカにならない。医療保険もかぎられているから医療費もかさむ。生きていくのに精一杯のわが家は賃貸アパート暮らしで、ペットをと思っても手がでない。ましてや馬一頭をとなると経済的負担は桁が違う。一頭の馬を飼うには大雑把に書下記の費用がかかる。高齢になれば医療費も大きな負担になるだろう。
<必要費用>
馬の餌代 合わせて
1月あたり3〜8万程度
8万×12=年間96万
馬房の床材
予防接種等 年間、数万程度
年間約100万〜

ペットの保護や里親活動……動物愛護活動の方々を目するたびに畏敬の念を禁じ得ない。メールでペットの保護を訴える署名の依頼を頂戴したこともある。情けないことに慈愛を胸に活動している方々の真摯な姿勢に怯んでしまう自分がいる。そこに斜め下から思わぬ疑問?が顔をだしてくる。ペットのイヌやネコは分かった。じゃあ競走馬は?どうにもならない無力感だけが残る。
2025/7/14