組織−編成

組織は戦略を最も効率よく遂行できるように編成される。戦略の遂行に伴い、また、市場の変化や自社の状況変化に応じて組織の再編が必要になる。戦略に変更があれば、変更された戦略を遂行するために組織が再編成される。再編の目的は効率よく戦略を遂行することにある。頻繁な再編成は組織の効率的な活動を阻害するが、状況に対応し得ない組織は存在価値がない。必要に応じて適宜再編しなければならない。
組織全体の効率−パーフォーマンスを高める視点をざっとリストアップしておく。ここでは業務を遂行するための最小機能組織(部隊)をユニットと呼んでいる。
1) 業務の種類に従って分掌を規程する。
必要以上に分掌を細かく分ければ分掌間の調整にロスが生じる。一つのユニットであまりに種類の違う業務をまかなえば専門化による生産性の向上を望めない。
あるユニットでは雑用とされる業務であっても、それを専門にするユニットに業務を集約すれば、雑用に見得た業務が専門職の仕事として確立できることもある。たとえば、営業の受発注業務を一つの業務とすればオーダープロセッシングチームとして専門職にでき、業務の質と生産性を上げ得る。
2) 最も効率よく分掌を遂行するためにユニットを作る。
業務分掌に従って組織を構成するユニットを作る。ユニットを図にすれば組織図になる。ここで、組整然とした組織図が目的ではないことに注意。組織図は整然としているにこしたことはないが、整然とした組織図が効率を保証するわけではない。
3) 分掌の重複、分掌の谷間を避ける。
一つの業務が複数のユニットの分掌内と考えられる分掌規程は、複数のユニット間で業務の押し付け合いや遠慮の問題を生じる。また、どのユニットの分掌にも入っていない業務があると、どこにも担当部署がないとう問題を生じる。いくら注意深く規定しても分掌の重複も、谷間も避けられない。問題としないためには、ユニット間で、個人同士で協力しあう、ボランティアも辞さない、それをよしとして賞賛する組織の文化の構築以外にはない。
4) 銃後の部隊を強化して前線をサポートするユニットを考える。
直接前線を強化する策より銃後を強化して前線をサポートする体制の方が全体のパーフォーマンスを上げやすい。 営業マンだけで営業活動はできない。営業に必要な資料の作成からパートナーシップの構築など営業からみれば付帯業務になるものを一手に引き受けるマーケティング部隊を構築して前線を支援する体制の方がいい。現代戦は銃後の戦いである。
5) 機能し得ないユニットは機能させる。
機能しないユニットがあれば、そのユニットを機能させる。そのユニットを従来からの分掌のまま残してそのユニットの業務を担当する別のユニットを設立してはならない。プロジェクトチームが必要な組織は、プロジェクトチームの責務を定常組織で遂行できるよう再編しなければならない。プロジェクトチームのような不正規、臨時部隊の設立は最後の手段。
6) 組織のパーフォーマンスは最もパーフォーマンスの低いユニットが決める。
各ユニットを業務フローに対応して直列に並べてみれば、どのユニットが全体のパーフォーマンスを決めているかの想像がつく。解決方法は二つ。一つは弱いユニットに追加リソースを投入する。ここでリソースには、人員増加か生産性を高める設備を充実するかの二種類ある。二番目の解決方法は弱いユニットの業務を見なおして、そのユニットの主業務でない業務を別のユニットに移管して、主業務に注力し得る環境を作る。
2013/12/1