図書館20人と113人待ち(訂正)

2017年2月5日で掲載した『図書館20人と113人待ち』に誤りがありました。訂正させて頂きます。
訂正内容:
横浜市の図書館の数を17館と数えましたが、正しくは18館で、17館は誤りです。図書館数の違いから、図書館当たりに人口も 220,000人から205,000人になります。ざっと220,000としましたが、訂正を機に、細かく218,000と記載しました。

震災で新浦安から横浜港北ニュータウンに引っ越した。どちらもバブルのころには高級住宅地としもてはやされて、住みたい町の上位にリストアップされていた。震災で一時の輝きはうせたものの新浦安は住みやすい町だった。たかが六年ほど住んだだけで、特別な思いがあるわけでもないが、横浜市の図書館の使いにくさに閉口すると、浦安だったらと思ってしまう。

知り合いが『〆切本』左右社刊が面白いといってきた。川口市の図書館で借りて読んでいるが、次の予約が二十人並んでいるので急いで読まなきゃといっていた。早速、横浜市立図書館で貸し出し状況をみて、驚きを通りこしてあきれかえった。なんと貸し出し予約数113人。二週間の貸し出しだから、2週間 x 113人=226週間、一年52週間だから、四年以上待たなければならない。 浦安市立図書館を見たら、貸し出し予約数20人だった。20人でも、2週間 x 20人=40週間、十ヶ月待たなければならない。どちらも予約したのを忘れてしまいかねない。それにしても四年、高校に入学して、社会人一年か大学一年、人生の節目をひとつ越えてしまう。
貸し出し予約が度を越えて多いということでは『〆切本』が特別ではない。12月12日の週に、佐野眞一の『唐牛伝』の貸し出しを予約しようとした。予約待ち64人をみて、あきらめた。2週間 x 64人 = 128週間、二年以上待たなければならない。浦安市立図書館だったらどうだろうと見てみたら、待ち人数は5人だった。

人口三百七十万を誇り、市立の医学部もある総合大学までもった政令指定都市の横浜市と、たかだか十六・五万人の浦安市、あまりに違いすぎるし、図書館の貸し出し待ちを比較したところで何の意味があるとも思えない。それでも気になってWebで調べてみたら、両市と知り合いの川口市の人口と図書館の関係は次のようになっていた。
横浜市:人口370万人、図書館18(17)館、図書館当たりの人口は、3,700,000/18 (17)= 206,000(218,000)人/図書館
訂正:図書館17館は誤り、正しくは18館内。図書館当たりの人口218,000人は誤り、正しくは206,000人。
浦安市:人口16万5千人、図書館8館(含む分館)、図書館当たりの人口は、165,000/8 = 20,625人/図書館
川口市:人口60万人、図書館6館、図書館当たりの人口は、600,000/6=100,000人/図書館
単純比較でしかないが、図書館一館あたりの人口では、二十二万人の横浜市に対して浦安市は二万人。なんとその差十倍以上。

日本図書館協会(url下記)がホームページ上で図書館の公的任務の重さを説いている。主要箇所を書き出すと下記になる。
「『すべての国民は,いつでもその必要とする資料を入手し利用する権利を有する』」「『この権利を社会的に保障することに責任を負う機関』が図書館である」「すべての国民に図書館利用の権利を保障することは、民主主義国家においては必須の条件であり,それは公の責任で果たされなければならない」urlは下記のとおり。
http://www.jla.or.jp/library/gudeline/tabid/236/Default.aspx

ここまで大上段に構えられると、腰が引けるが、それでも図書館の充実と文化的な生活の間には明確な正の相関関係があるだろう。 市政としては、やらなければならないことも多いし、一度にあれこれしようとしても予算の制約もある。たかが図書貸し出しの待ち人数が多いぐらいのことで文句を言うなということかもしれない。気長に待っていれば間違いなく借りられるのだし、と聞こえてくるような気がする。とはいうものの、日本図書館協会の主張「民主主義国家においては必須の条件」に異論のあろうはずもなく、「はい、そうですよね、待ってればいい、仰せの通りです」とは言いかねる。

図書館は市政が提供するさまざまな社会福祉や文化事業の一部でしかない。限られた予算をどのように配分すべきかは、市民の日常の要望を反映してのことだと思う。だとすると、横浜市には野球やサッカーに惹かれる人たちが多くて、図書館という人が少ないということなのか。どっちがいいの悪いのの話ではないが、もし、横浜市が文化都市を目指すのであれば、とるに足らない図書館ともいっていられないだろうし、民主主義国家までもちだされると、ここは安易な妥協はしえないのではないか。
スポーツやイベントもいいけれど、限れた予算でももうちょっと図書館を充実して頂けないかという、ささやかな希望なのだが、もうちょっと文化的な生活を求めて引っ越すか。
2017/2/10