「正義 自由 真実」の京都新聞(改版)

四月二十一日、たてつづけに京都新聞の創業家への高額報酬に関する記事がながれてきた。京都新聞の記事もあるが、Yahooが配信してきた毎日新聞の記事が分かりやすかった。
「京都新聞HD、元相談役に総額16億円超の違法報酬か 第三者委指摘」
驚くことに、同じ四月二十一日付けで、同じ表題「京都新聞HD、元相談役に総額16億円超の違法報酬 第三者委員会が指摘」で更新されている。以前の記事は削除されてしまった。更新された(新しい)記事のurlは下記の通り。
https://news.yahoo.co.jp/articles/48d31b96ca59bef1d188eeac0e27e65a27d40618

更新された記事は上記のurlで読める。更新でキーとなる個所が削除されている。たとえば、「年間6000万円以上の報酬を得ていたが、勤務実態がなく、私邸管理費の肩代わり……。大阪国税局などの再三の指摘にもかかわらず改善を図らなかった」

更新される前の記事の主要個所を書き写して置く。
「京都新聞社を傘下に持つ京都新聞ホールディングス(HD)=京都市中京区=が、大株主で相談役だった白石浩子氏(81)に対し、長年にわたって報酬と私邸の管理費を支払い、HDが設置した第三者委員会から会社法違反にあたると指摘を受けたことが、関係者への取材で判明した。違法な疑いのある支払いは、34年間で総額16億円に上るという。HDは近く、第三者委の調査報告書を公表するとみられる」
「白石氏は1987年以降、多い時で子会社を含め6社の相談役として年間6000万円以上の報酬を得ていたが、勤務実態がなく、私邸管理費の肩代わりと合わせて違法性を指摘された模様だ。人事を握る大株主として優遇を受け、大阪国税局などの再三の指摘にもかかわらず改善を図らなかったとして、調査報告書は「法令遵守(じゅんしゅ)意識が欠如していた」と厳しく批判する内容となる見込み」

会社(法人)の私物化という経済犯罪には事欠かない。大きなところでは、安宅産業もあったし西武グループもあった。ニュースを見聞きするたびに、司法と行政に欠陥があるんじゃないかと思ってきたが、いつものようになんでと思う確信にちかい不信が一つある。
株式を公開していれば、年度末に財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)を公認会計士の監査を受けて公表しなければならない。公表された財務三表にもとづいて法人税が決まってくる。
ところがオリンパスも東芝も公認会計士がグルになって粉飾決算が続けられた。

Webをみれば、公認会計士の使命(公認会計士法 第1条)として、もっともらしいことが書いてある。
「公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする」
独立した立場? 本当かよ?と思う人より、そんなことありっこないんじゃないかと思っている人の方が多いと思うんだけど、どうなんだろう。雇い主の意向を忖度せずに公正な監査なんかどこまでできるのか、と想像すれば、オリンパスも東芝も、京都新聞の問題も、起きるべきして起きたことじゃないのか。

ここまではどの企業体や組織にも言えることだが、京都新聞の場合は巷の営利企業とはちょっと違う。社会の公器ともいわれる新聞社だ。
世界情勢から日本の経済社会まで巷のあらゆることを取材して調査して報道するのが新聞社の使命だろう。現に京都新聞の四月二十二日付け「『オーナー家』の過剰な聖域化が不祥事生む 京都新聞HD違法報酬問題」と題した京都新聞のニュースには、次の行がある。
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/776391

「京都新聞ホールディングスが会社法に違反して、特定株主に利益供与を続けていたとする第三者委員会の調査報告書が公表されました。読者、市民の信頼を揺るがせたことを深くおわびします。京都新聞社は、京都新聞ホールディングスの100%子会社ですが「正義」「自由」「真実」を守ることを掲げた社是の通り、独立した立場で今回の問題を報道していきます」

どこでもあることだし、何をいったところで何が変わるとも思えないが、歴史もあれば名もある京都新聞たるものが、自らの手で自らの取材も調査もできずに第三者委員会の調査にゆだねなければ実情を把握できないのか?第三者委員会の調査がなければ、三四年間にわたる歴代の経営陣は総額一六億円の過払い?に気がつかなかったのか?気がついていて、正そうとしなかったのか?しようとしたが出来なかったのか?なぜできなかったのか?五年十年じゃない。三十四年間、知らなかったじゃすまない。人様のことなら取材?して報道もできるが、身内のことは自らの手で調査もできずに第三者委員会の報告をまってで新聞社はないだろ。

京都新聞の掲げる「正義」「自由」「真実」とはいったいなんなのか?社会の公器としての新聞社として説明する責任がある。
2022/6/13