食費品の風評被害

食品の風評被害は福島の放射能汚染に始まったことではないのだが、今回の風評被害は今までのものと規模が違うこともあってか、テレビや新聞でも頻繁に取り上げられてきた。放射能汚染の可能性から汚染の可能性のある地方の、その近在の食材が汚染されていないにもかかわらず消費者から敬遠される。一消費者、一社会人としてちょっと複雑な気持ちではあるが、生産者の方々のお気持ちは察するに十分で、個人的には怒りに近いものを感じるのを抑え切れないでいる。
風評被害にあわれている生産者のお気持ちも立場もよくわかるが、一方では、今まで何度も食品のインチキ、詐欺行為に騙されてきたから、消費者として食品に関する情報を真に受けないぞという二つの気持ちが絡み合っているので、ちょっと複雑な気持ちになる。今回の風評被害のニュース、生産者の生の苦境を聞きながら、食品の生産と消費は、生産者と消費者の直接の関係ではなく、両者の間に流通・加工業界があって、詐欺行為を繰り返しているのは多くの場合、生産者ではなく流通・加工業界なのかもしれないと思いだした。
食品の詐欺行為は、あまりに頻繁に、日本語のいい加減さ(考えのあいまいさ)、行政の怠慢などから事件ではなく日常というか常態になってしまった感がある。ブランド肉の生産量より消費量が多い、輸入肉が国産肉として販売される、中国産のうなぎが日本産として大手スーパーで大手を振って売られる、カビの生えた食用外の外米が食用に流される、海外産の名の知らない魚がちょっとした高級魚に名前をつけられて寿司種として使われる、手作りであるはずがないものが手作りと銘打って売られる。カカオが全く入っていないチョコレートまがいのもの、合成飲料にあたかもジュースと間違える名前をつける、加工肉に自然に含まれる以上の水分を含ませて重量を増やす、あまりに常態になりすぎて。。。数え上げたら、調べだしたらきりがない。情けないことだがインチキ慣れて、驚かなくなってしまった。
詐欺行為も地方の名もない小さな会社が目先の利益を目が眩んでやってしまったケースばかりではなく、れっきとした東証一部の会社が組織的に歴史的に当然のこととしてやってきたことも多いだろうと想像している。消費者にインチキやってるだろうと想像されても、流通・加工業界は、苦言を言える立場じゃないだろうと思う。
こう言っては失礼になる可能性があるのを承知で言わせて頂ければ、流通・加工業界は、一般大衆が分からない、気が付かいない範囲でインチキをするのは、歴史的にも基本的な商才の一部とでも思っているのではないかと想像している。本来、業界の詐欺行為を規制しなければならないはず(市井の者の妄想か?)の行政も業界団体の利権保護組織に成り下がり、政治にいたっては政治資金と票田の拠り所としての業界は大事だろうが、薄く広く散って金にも票にもならない一般市民に関心は持たないだろう。
今回の放射能汚染で小汚くインチキして、ボロ儲けしている流通・加工業者がいるだろうというより、いないはずがないと思っている。風評被害で値崩れした食品を買い叩いて、書類上で生産地を書き換えて、通常の価格で売り抜ける。こんなことはありえないとおっしゃる方々もいらっしゃるだろう。申し訳ないが、今まで何度も繰り返されてきた、多分、今も繰り返されている詐欺行為、その詐欺行為を結果として黙認してきている行政の発表を、流通業者や加工業者の弁を信用しろと誰が言えるのか?中にはお人好しにも信用する方々もいらっしゃるだろうが、フツーの人は信用したくてもできないだろう。
生産者のせいじゃなくて、次の段階の信頼性の問題が生産者に被害を与えているのだろうと想像はしているが、消費者の側から見れば両者は提供者として一括して見られるのを避けられない。一括して提供者として見ると、詐欺、詐欺まがいのことを常態としてやっている人達が少なからずいると断言してもいい状況証拠揃いすぎている。 生産者の方々には誠に申し訳ないが、風評被害を云々言う前にあなた方がお付き合いされている流通業者や加工業者をまともにして、時間をかけて信頼できる生産と流通と加工なんですよって消費者に証明するしか方法ないんじゃないかと思うのだが。一括して見たら、風評被害は自業自得じゃないかと言ったら言い過ぎか?