エコ?エゴ?

“エコ”を銘打った広告を目にしない日がない。一目で広告と分かるもののあるが、なかにはあまりに大きな、地球規模の環境問題を全面に押し出していて、見る側には、その後ろにある本音が分かりにくいのもすらある。そのうえ、エコという和製英語?と言葉の定義を厳密に考えない文化のせいだろうが、本来のエコ=環境問題から拡大解釈が続いて、まるで “風が吹けば桶屋が儲かる”も想像し得なかった、よく言えば豊な発想、本音を言わせていただければ、ほとんど“こじつけ”か、言葉のお遊びに近いエコなんとかというものまである。
1973年のオイルショック以来、長年“省エネ”という言葉を使ってきた。この言葉にはエネルギー消費を減らすという視点までで、環境問題は含まれていない。省エネを包括するかたちで、もう一歩出て、環境問題を正面から取り組む言葉として“エコ”が出てきた。利権団体の影響からどれほど自由な報道がなされているのか知りようもないが、日本にいれば、かなりのレベルで地球規模での環境問題について知ることができる。世界では環境問題を隠蔽しようとする社会勢力に直接、間接に支配されている国も多いこと思えば、日本人の環境問題に対する意識の高さは誇れるものだと思う。
世界には、無尽蔵の埋蔵量の石炭を主なエネルギ−源として経済活動が営んできた国や地方がある。そこでは、石炭産業とその関連団体抜きには、現在の政治体制も経済生活レベルも保持しえない。そこに住んでいる人達も、たとえ全員でなくとも、石炭が原油に比べて遥かに環境負荷が大きく、環境を破壊しているのは分かっているはずだ。分かっていても、そこからでてくる(政治的)発言では石炭は大気汚染の原因ではない、大気汚染の原因はガソリンを燃料とした自動車ぐらいのことを平気で主張する。世界で最も影響力のある国の大統領ともあろう人(自出はただの石油屋なんだが)が、二酸化炭素増加による地球温暖化は、一部の学者の誤解だと発言していたと記憶している。米国の産炭地の議員は、石炭産業を守る発言に終始する。環境問題を真正面から捉えて、石炭の使用を減らさなければなどと言ったら、次の選挙で間違いなく落選する。
“公害”、“省エネ“、”エコ“、”環境問題“、”石炭“、”原油“、”バイオマス“、”太陽光発電“。。。なんだかんだで環境問題を中心としてその周囲に色々な改善策や改善を目的とした製品や商品が溢れている。政策も商品も一般大衆に知ってもらうために、告知したり、広告や宣伝をすることになる。一般大衆に知ってもらって、いったい彼らにとって何がいいのだろう?彼らが、もし、営利企業だとしたら、まさか、知ってもらったという”満足感“を得るために広告や宣伝をしている訳じゃないだろう。なかには”風が吹けば“よろしく、企業イメージのアップ。。。が目的と言う企業もあるだろうし、その可能性も否定はできない。それは、長期的、間接的な利益を求めた投資ということになる。
“エコ”言う営利企業の真の目的を端的に示しているキャッチフレーズがある。先の拙稿にも書いたが“Green is green”は、ある米国系の巨大コングロマリットがリーマンショック後に急に言い出したものだ。以前は伝統的な米国企業の例に漏れず、環境は金にならないと考え、主張し、そのようにしてきた。ところがリーマンショック後、従来からの市場のビジネスが耐え難いまでに傷んだ。そこで、手のひら返したかのように環境は金になる、Green is greenと言い出した。最初のGreenは環境問題、後のgreenはUSドル紙幣、要は金。
フツーの人は、エコを言われれば、否定は難しい。エコの方がいいに決まっている。ただ、営利企業が何を目的として広告、宣伝しているのかを多少は気にしてみた方がいい。エコだエコだといいながら、環境にやさしい、。。。社会貢献を全面に押し出しているが、実質効果は誤差の範囲を出ないものも多い。極端なケースを想像してみればいい。環境問題を改善することを目的として、自ら(社会からのなんらかの規制や圧力のためではなく)、今までよりも利益を減らした製品なり、商品なりを市場に出すか? エコだエコだ、社会貢献だというのなら、利益を度外視して、もっと言えば、エコのために寄付します、もし、使って頂けたら使って頂くために費用を企業が持ちますという商品なり製品があるか?あり得ないだろう。営利と目的とした企業は利益を期待できないことには金も時間も人もかけられない。残念ながら、“利益を求める企業のエゴなしにはエコが進まない社会”になってしまっている。善意のエコはない。あったとしても長続きしないか、経済的な基盤が弱すぎて、小さな活動に限られる。エゴのないエコはないし、エコが成り立つためにはエゴが必要ということになる。。極論させて頂ければ、“エコはエゴだ”だ。
企業のエゴに利権がついて、なかには人様の税金まで使って、企業の販売推進の後押しさえしているものまである。環境問題を軽減するエコな乗用車で社会に貢献すると主張するのであれば、エコ減税などとケチなことを言ってないで、利益を度外視して販売、提供するくらいの。。。、ありえないだろう。“エコ減税”とは誰のものなのか?環境問題が気になるなら、できるだけ車に乗らない生活に切り替えればいい。乗らなければ車を作る段階でのエコも進むはずだ。公共の交通機関を充実して。。。製造業の産業振興に逆行して、土建屋の利権政治屋を利することにしかならないとも思えないのだが、