孤軍奮闘駐在記

アメリカの産業用制御装置メーカの日本支社が日本の車載電装品メーカとの合弁会社になった。多種少量生産の業界と自動車メーカ向けの大量生産が常識の水と油のような二社。両社の戦略や目論みを持ち前の熱意でまとめた支社長がCNCの開発プロジェクトをしかけた。「熱意のないところから価値あるものは生まれない」というが、なんの能力もなしで始めた無謀なプロジェクト。三年に億の金をかけて頓挫した。面子もあれば思い入れもあって止めるに止められない。アメリカの事業部でやり直すことになった。三ヶ月もあれば終わると言われて、出かけてみれば一年経っても終わらない。誰もやりたくない、関わり合いたくないプロジェクトを一人で背負わされる羽目に陥った。それでも、はみ出し根性に変わりはなし、ただじゃ転ばない。